2023-10-05から2023-10-10まで北海道の実家に帰省をしてきた。これはその際の旅日記である。
- 2023-10-05木:羽田→新千歳→東室蘭
- 2023-10-06金:東室蘭→豊浦→八雲 / 八雲→鹿部→函館 / 函館観光初日 / KKRはこだて
- 2023-10-07土:KKRはこだて→函館元町 / 旧函館区公会堂→五稜郭 / 北海道立函館美術館→長万部→室蘭
- 2023-10-08日:室蘭中島公園 / 崎守埠頭で海釣り / 虎杖浜温泉ホテル→幌別
- 2023-10-09月:祖父母宅探索 / 室蘭独り観光 / 東室蘭→新札幌
- 2023-10-10火 :(最終日)新札幌→新千歳→羽田
なお、昨年2022年10月に北海道に規制した際の旅日記はこちらから。→2022-10-20 北海道帰省
2023年の夏期休暇調整
何度か日記に書いているが現在おれが従事しているプロジェクトは主に顧客の都合で暦通りの休日が基本であり、カレンダーで平日の部分はシステムも業務も動いているので所謂一般的な「お盆休み」というものは存在しない。そのため、プロジェクトメンバの各人は自身が担当する部分の状況に合わせて7月から10月頃にかけて休みを取るような貌が慣例となっている。おれは一斉に休んで一斉に働き始め一斉に休みボケになるのが好きなのだが、その点に対して文句を言っても始まらない。夏期休暇とは伝説的な存在であり、そもそも夏期休暇と見なせる長期休暇が全く存在しない過酷な仕事もこれまでにしばしば存在した。それに比べれば休みの期間がずれるのは些末な話であり休めるだけマシというものである。
夏期休暇予定
さて今年2023年のおれの夏休みだが、以下のような日程となった。
- 10/05木:仕事後に20:15発の便で羽田空港から新千歳空港へ移動する。
- 10/06金:両親と共に函館へ移動する。(夏期休暇として休みを取得)
- 10/07土:函館を観光する。夜はジンギスカンを食べる。
- 10/08日:弟夫婦が帰省してくる。夜は高校時代の友人と会い日帰り温泉に行く。
- 10/09月:祝日。夜は新札幌駅に移動しTwitterの知り合いであるJ氏・H氏と会う。
- 10/10火:16:20発の便で新千歳空港から羽田空港へ移動する。(夏期休暇として休みを取得)
上に列挙した通り暦の休日以外で休みを取得したのは僅か2日のみである。なお、予定は10/05時点で確定していたものを書いた。移動日を除くと完全に自由になるのは僅か4日間である。何故こんな事になってしまったのか?
7月中旬に妻が新型コロナウイルスに罹患し、うさぎハウスが如き狭い我が家ではお互いの生活範囲を分離する事が難しくおれも敢え無く感染し発症した。打てるだけのワクチンを接種していた事が幸いしたのか辛い症状は長引かなかったが39度台の熱が続き、火水木金と平日に4日間も業務に穴を開けてしまった。週明け月曜からは通常通りの勤務に戻ったのだが、今度は父方の祖母が亡くなり翌週の水木金と3日間の忌引を取得する事になった。無論どちらも不可抗力ではあるのだが、チーム内で夏休みの調整をする狭い期間で7営業日も休んでしまった事実を前に「では平日に5日間の休みを入れて9連休取りますわその間はヨロシク」とはどうにも言い出し辛い感じになってしまい、結果としてこのような歪な構成の夏期休暇になったという次第である。
その日
下期最初の週である2023-10-02週はとても忙しかった。自社の事務作業的の面ではただでさえ忙しい月初であり、対してプロジェクトの面では直ぐ目の前に本番リリースを迎え、それに対する検証作業が山のように積み上がっていた。おまけに夏休みに入る前に社内の雑務を消化しておこうとねじ込んだ部下の中間評価面談も2本入っていた。こんな状態で休みを取れるのだろうかと何度も自問自答したが、最終的には休み明けの調整を含めて何とかやり切った。少なくとも自分にできる限りの事はした。
17:00過ぎに仕事を切り上げて、こうして2023年の夏期休暇が始まった。
羽田空港へ
荷物は前日夜に纏めていたので煙草やジッポ、ノートPCをキャリーケースに積み込むだけで帰省に向けた最終準備は完了した。24時間前から可能であるAIRDOの事前チェックインも既に済ませてある。後はキャリーケースを引いて家を出て空港へ行くだけだ。遅れるよりは良いだろうと10分早い便で羽田空港へ向かう事にした。最後にもさもさした犬をギュッと抱いて妻と一緒に家を出た。空港まで見送りという訳ではなく夕食をコンビニで買うためなので駅までは独りで行った。着替えを多めに積んだので荷物が重い。横浜と北海道の寒暖差はいつも概ね10度程度ある。だがあれほど猛威を振るった凶悪な暑さも鳴りを潜め、今年の夏は確実に死につつある。横浜でもこの時間になると少し肌寒く感じられた。
羽田空港到着
羽田空港に到着した後は実家からのリクエストで昨年同様にねんりん屋[公式]のバームクーヘンを購入した。後からレシートを見返してみると果たして昨年と同じ東京食賓館[外部]だった。以前に日記に書いた通りおれは「自分の行動について記録できるものは可能な限り全て記録しなければならない」という妄執に長年取り憑かれており、その記録の一環としてレシートは全てスキャンして電子データに落としてある。昨年も今回同様に羽田空港到着後に似たようなルートを辿って買った筈だ。
キャリーケースに今買ったバームクーヘンを突っ込んで手荷物として預けた。機内へそのまま持ち込むと邪魔な上に最悪忘れてしまう可能性もあるので、おれは土産はいつもこう扱っている。便利な事に数年前から手荷物は自動で預けられるようになっているが、この機械の仕組みには毎回感心させられる。数年前と書いたがもしかすると10年くらい前かも知れない。人間の記憶はいつもあやふやで不確かな存在であり、信用できるのは記録だ。
55番搭乗口
平日で時刻が比較的遅い事もあり保安検査場は空いていて直ぐに通過できた。AIRDOの便に乗る際にはいつも端の方の搭乗口(それでも空港内をバスで移動しなくても良いだけマシだ)を使う事になるのでブラブラとそちらへ向かった。改装工事が入っているのか、途中で写真のように見慣れぬ狭い通路になっていた。
羽田空港の中を歩いているといつも、羊たちの沈黙[Wikipedia]のラストでレクター博士が空港からクラリスに電話をするシーンを思い出す。おれが羽田空港を歩く時はあの場面のレクター博士の気分になっている。随分昔の事だが若い頃は関東で仕事をするのが嫌で生まれた時から慣れ親しんだ北海道に帰りたかった。羽田空港はその果たされぬ思いを叶えてくれる象徴的な場所として感じられた。レクター博士が遂に牢獄から逃れたようにおれも仕事や責任から自由になりたかったのだろう。
POWER LOUNGE NORTH
さて、出発まではあと1時間以上ある。普段であれば所在なげに搭乗口近くで時間を潰す所だが、今回は人生で初めてのラウンジを使うために事前にゴールドカードを取得してあった。おれは不誠実に10枚以上のクレジットカードを持っているが、原則として年会費が発生するものは持たない。年会費を払って受けられるサービスは現在の自分の生活に於いて身の丈に合わないと思うからだ。だが、今回は帰省に合わせてタイミング良くセゾンアメックスのインビテーションが届いたので気まぐれで作った。年に一度使えば年会費が無料となるシステムになっているが、果たしてこれで企業側が採算が取れるのだろうかと逆に不安になる。多分うっかりして使い忘れた人が払う年会費だけで何とかなるのだろう。
ゴールドカードで入れる羽田空港のラウンジは、55番搭乗口の近くのエスカレーターから3Fに登った所に備えられていた。これまで全く気にした事が無かったので入り口がこんな場所にあるとは知らなかった。不審者さながらにビクビクしながら受け付けに行き卑屈な所作でゴールドカードを見せて「これで入れますか?」と消え入りそうな声で恐る恐る尋ねると、クレジットカードだけではなく当日この空港から搭乗する事を証明する物を見せてくれと言われたのでもう途端に餓鬼のようにわあわあと大声で泣き喚いて一目散に逃げ出したくなってしまった。やっぱり貧民がラウンジなんかに来るんじゃなかった。全て嘘である。幸いiPhoneのアップルウォレットに航空券を登録していたので、それを見せる事でゲートを通過できた。また一つ利口になったがこうしておれのような”””ラウンジ初心者”””が炙り出されてしまうのだなと思った。
おっかなびっくり入った初めてのラウンジだが、寛げるように静かで広めの場所が用意されているだけで、その他はソフトドリンクの無料サービスがある程度の些か慎ましいものだった。ビールも飲めたが500円だった。喫煙所も無い。航空会社のラウンジであれば食べ物があったりしてもう少し豪華なのであろう。或いは各社が無料のゴールドカードを乱発するようになってからサービスレベルが落ちたのかも知れない。
各席に給電口が設置されていたので充電をしながらフリートマトジュースをぐびぐび飲んで時間を潰す。幸いな事にトマトジュースは塩が入ったもので旨かった。おれは無塩トマトジュースはタマ無しの飲むものだという酷い偏見を持って憎んでいる。
搭乗口
最後に飛行機に乗ってから約1年が経っているので搭乗口に何分前に行けば良いのか忘れてしまった。そのため、30分くらい前に天界(ラウンジ)を後にして再び下層民に混ざり喫煙所で内地最後の一服する。次に煙草を吸う時は北海道だ。
直前まで仕事をしていたので精神的にも肉体的にも草臥れ果てており機内では寝るつもりだったのだがウトウトするだけで余り深くは眠れなかったし、途中で出されるスープもしっかり飲んだ。今回は帆立スープを選んだが旨かった。気流が不安定で降下に入ってからやたら揺れた。
北海道到着
無事に新千歳空港に到着する。大荒れの天気で欠便になるかと心配していたが、心配しても仕方が無い。
機内に乗り込んだ際、滑走路が混雑しており6本の便が離陸待ちをしており20分程度遅れるというアナウンスが流れ、事実離陸はそのくらい遅れたように記憶しているが、新千歳空港に到着する頃には定刻から10分遅れまで遅延が回復していた。こういう場合は飛行速度を上げて遅れを取り戻すものなのだろうか?
新千歳空港
いつも通り父が迎えに来てくれていた。父は今年で72になる筈なのに、おれの都合で遅い時間に無理をさせてしまった。だが、こうして親の厚意に甘えられる回数も残り僅かだろう。だったら甘えられる内に甘えておきたい。
夜に着くといつも新千歳空港はひっそりと静まり返っている。思ったよりも寒かったのでキャリーケースから薄手のコートを出して羽織った。外気温は10度でギリギリ二桁である。ただでさえ短い休みなのに初手で風邪を引いてはつまらない。今回の夏休みは自分だけではなく様々な人との日程調整の上で予定が組まれており、おれはこの休みを十全に楽しむ義務があるのだ。
みよしの苫小牧明野店
昨年の夜に新千歳空港に着いた際は山岡家で晩飯を食べたのだが、今回は苫小牧の街中を通る事にした。父は「あの辺りなら開いてる飯屋があるべや」と楽観的に言っていたが何せ北海道の事なのでおれは半信半疑であった。さて問題のポイントに近付くと意外にもそれなりに明かりが点いている店はあったのだが、マクドナルド・すき家・焼肉きんぐ・びっくりドンキーという首都圏で見慣れた面々でありいまいち食欲を唆られなかった。決してこれらの店を嫌っている訳ではないのだが、やっと北海道に着いて最初に食べる飯として選ぶのには相応しくない。こんな夜中に店を開けてくれているだけでもありがたいのに我ながら実に勝手な言い分である。人間とはここまで傲慢になれるものなのか。
餃子定食
という事で道路沿いにあるみよしの苫小牧明野店[食べログ]に入った。実際はその隣りにある家系ラーメン屋に入るつもりだったのだがそちらは既に閉まっていた。おれは北海道に出張していた時の癖で餃子定食を食べたのだが、親父が頼んでいたホッキ塩ラーメンが旨そうで羨ましくなってしまった。おれはいつもこういう所でセコい判断をして一生の後悔を残すのだ。
餃子定食を旨い旨いと食べていたらTwitterではこの言われようである。こいつらは後から呪殺だ。
東室蘭到着
飯を食った後は道南民に於けるローマ街道である国道36号をひたすら南下する。平日のこの時間になると交通量はほぼゼロ近くになるが、駅メモで東室蘭駅圏内に入った時には既に0時を回ってしまっていた。
面白い事に、東室蘭駅は確かに存在するのだが東室蘭という地名は存在しないのだな。GoogleMapを見て今更気が付いた。
自宅到着
東室蘭の自宅に到着すると寝ていてくれれば良いのに母は未だ起きていた。或いはシャッターの音を聞いて起き出してきたのかも知れない。羽田空港の喫煙所で煙草を吸って以来ずっとニコチンを摂取できていなかったので、車から荷物を下ろした後は勝手に灰皿を取り出して暗い庭で煙草を吸った。幸い雨は止んでいたが風が荒れ狂っており容赦無く寒い。そう言えば室蘭の10月って本来はこんな感じだったよなと思い出す。明日は朝から函館に行く予定だが雨の予報である。
猫ちゃん
親父はサッポロクラシックと焼酎の水割りを飲むと寝たので、おれは風呂に入ってリビングで少しゆっくりする事にした。ゴロゴロしているとおれの到着と共に逃げ去っていた猫がこっそりと階段から降りてきて様子を伺っていた。聞くと猫は夜はいつもリビングのソファーか椅子で寝ているとの事なので、こんな時間に急に知らない奴が来てさぞ迷惑だった事だろうと思う。でもおれは去年も来たじゃないかと思った。
おやすみなさい
例年同様に昔は父の書斎だった部屋に客用の布団が用意されていたので02:00過ぎに気絶するように寝た。