ボルドュー湖畔、ゾード湿原を順に突破して、作戦の目的地であるバルマムッサの町に到着した。警備の兵を打ち破った後、住民達に武装蜂起を指揮するため、デニムは住民の代表者達を集めるが……
バルマムッサの町
ヴァイス
「ふざけるな!オレたちが来たのはそんな台詞を聞くためじゃない。
おまえらは、このままガルガスタンの奴隷でいいって、解放軍は邪魔だって言うんだな!!」カチュア
「そんなに熱くならないで、ヴァイス。これじゃ話したくてもできなくなるわ。」老人
「戦って何になるというんじゃ。争いは憎しみしか生み出さん――
わしらは今のままでいいんじゃ。ここなら戦禍に巻き込まれることはなく、食うにも困らん。ヴァイス
「家畜と変わらない生活なんだぞ。ここにいる限りそれは変わらない。
自由が欲しくないのか。人間らしい生活をしたくないのか。
ウォルスタの誇りはどこへいったんだ!」
強制収容所とは言えど、ここで働く限りは命の危険も無く、最低限度の生活は保証されているようだ。ヴァイスが檄を飛ばすが、そこでの生活に不満が無い老人達には武装蜂起を煽る言葉は響かず白けたムードが漂う。
老人「英雄だかなんだかしらんが、公爵にのせられているだけではないのかの?」
老婆
「あんたたちが何もしなければ、平和な生活が続いたんだよ。
解放軍だかなんだか知らないが、ただ、首がすげかわるだけのことじゃないか。
同じことを言ってた息子は半年前の戦争で死んだよ――あたしの息子を返しとくれ。」老人
「お願いじゃ、このまま帰ってくれんか。ここに戦おうという者はおらん。
それに、おぬしたちは勝てるとでもいうのか。あの強大な力を持つガルガスタン相手に。
英雄だかなんだかしらんが、公爵にのせられているだけではないのかの?」騎士レオナール
「遅くなって申し訳ない――ちょっと、こっちへ来てくれないか?」
やはりロンウェー公爵の危惧の通りの結果となってしまった。
幾ら過酷な強制労働を課されていても、衣食住が保証されているのにわざわざ命を危険に晒してまで戦おうとする人間は少ない。老い先短い老人ばかりに意見を訊けばそうなるだろう。湿気た薪に火を灯す事はできず武装蜂起扇動は不発に終わった。
そこに不吉な使者のように騎士レオナールが現れて、デニムを屋外に誘った。
騎士レオナール「これから町の住人をひとり残らず殺すんだ。」
騎士レオナール
「話を聞かせてもらった。やはり説得は難しいようだな。
いや、気にしなくていい。こうなることはわかっていたんだ――
よく聞いてくれ――これから――
これから町の住人をひとり残らず殺すんだ。」デニム
「!!」騎士レオナール
「こうなることを予想されていた公爵殿下のご命令だ。」デニム
「どうして?いったい、どうして?何故なんだ、理由を教えてください!!」騎士レオナール
「公爵殿下はこう仰せられた――」
え……?
ロンウェー公爵「おまえはガルガスタンを装い、住人をひとり残らず殺すのだ――」
ロンウェー公爵
「――バルマムッサの住人がすんなりと蜂起するなら何も問題はない。
しかし、あの子どもたちが行ったとて、連中は武器を手に取り革命のために命を投げ出したりはせん。
そのとき、おまえはガルガスタンを装い、住人をひとり残らず殺すのだ――」騎士レオナール
「な、なんですと!我が同胞を殺せとご命令になるのか。」ロンウェー公爵
「落ちつけ、レオナール。おまえは頭の良い男だからわかろうが。
よいか、ガルガスタンとの戦いに勝つには、これまで以上に我々ウォルスタの団結が必要なのだ。
バルマムッサがヤツラによって滅ぼされたとあれば、他の自治区にいる同胞も否応もなく戦わざるを得まい。」騎士レオナール
「し、しかし――」ロンウェー公爵
「それに、そうした暴挙をガルガスタンの反体制派が黙ってはおるまいよ。
いずれにせよ、バルバトスは戦力を我々とガルガスタン内部の反体制派に分散しなければならなくなる。
そして我々は、バルバトスを打ち取る大義名分と勝機を得ることができるというわけだ。」騎士レオナール
「しかし、デニム殿は黙ってはおりますまい――」ロンウェー公爵
「そのときは、おまえが――」
騎士レオナールの回想シーン。ロンウェー公爵はこう言っておられる。
- そもそもバルマムッサでの武装蜂起は成功しない。つーか飼い慣らされたあいつらに戦いとか無理。戦力にならん。
- ならばいっそ偽旗作戦でバルマムッサ住人を皆殺しにして、ガルガスタン軍の仕業に見せ掛けてしまえ。
それにより以下の効果が見込めるだろう。- 他の自治区で大人しく支配を受け入れているウォルスタ人を蜂起させ、
- 虐殺者ガルガスタン軍と戦うという大義名分を手にした上で、
- 更にガルガスタン勢力内で、バルバトス派と反体制派の分断効果まで期待できる。
- だからバルマムッサの民は捨て石な。勝利のコスト。デニムには因果を含めてくれよな。諸々頼むわレオナール。
騎士レオナール「――従ってくれるな?こうしなければウォルスタに明日はない!」
騎士レオナール
「――従ってくれるな?こうしなければウォルスタに明日はない!」
感情抜きに考えても、一切情報を外に漏らさずに、バルマムッサに収容された5000人の住人を殺し尽くすというのは現実的ではない。そんなリスクを犯さなくても別のチャンスはあるのではないか?
だが、ロンウェー公爵の忠実な飼い犬である騎士レオナールは、既にそれ以外の可能性が見えなくなっているようだ。無辜の同胞殺しに協力するようデニムに強く迫ってきた。
デニム「1.――わかっています。」
1.――わかっています。
2.馬鹿なことはやめるんだ!
SFC版で遊んだ当初の思い出になるがこの選択肢には痺れた。今回は非情なロウルートに進む。
普通に考えれば「2.馬鹿なことはやめるんだ!」を選ばざるを得ないと思うのだが、先程の会話で、敢えて負け犬根性が染み付いた年寄りへのヘイトを煽るように描いて、虐殺への罪悪感を軽減しているのも上手い。
デニム「きれい事だけで勝つことはできない。現実を見ればわかることだ。」
デニム
「――わかっています。理想のために、この手を汚しましょう。」騎士レオナール
「――すまない。彼らの犠牲を無駄にはしない。」ヴァイス
「デニム、本気か?本気で言ってるのか!!」騎士ラヴィニス
「レオナール、殿下は本当にそんなご命令を?あなたはそれを本気で実行しようというの!?」デニム
「きれい事だけで勝つことはできない。現実を見ればわかることだ。」騎士レオナール
「無論、我々は命令に従うまでだ。それが閣下に――いや国家に忠誠を誓った者の責務であろう。」
プレイヤー自身の選択が招いた結果とは言え、デニムのこの物言いにはビビった。腹を括ったデニムは完全に大人の男になってしまったようだ。毒を食らわば皿までよな。
ヴァイス「当たり前だろ!罪もない人々を殺して真の革命なんておこせるもんか!」
ヴァイス
「どうしたんだ!それじゃ、やつらと変わんないじゃないか!」騎士ラヴィニス
「同胞の犠牲を厭わぬどころか、その犠牲を戦争の道具にしようというのね、公爵は。
命を懸けて戦ってきたのに、主君が民を裏切るなんて。私はなんて愚かだったんだろう――」騎士レオナール
「ヴァイスくん、きみは反対するんだね。我々に従えないと言うんだね。」ヴァイス
「当たり前だろ!罪もない人々を殺して真の革命なんておこせるもんか!」
きれいなヴァイスになったが、ここで「2.馬鹿なことはやめるんだ!」を選ぶと真逆の事を言い出すんだよな。
取り敢えず今回はロウルートを選んでみたが、エディングを見た後はこの分岐からやり直しだ。
騎士レオナール「所詮、混血のきみに期待するなど、間違いだったということだ!」
騎士レオナール
「ラヴィニス、きみはこの期に及んで任務を放棄し、主君を――祖国を裏切ろうというんだな。」騎士ラヴィニス
「裏切る?違う、そうではない――公爵を――おまえたちを見限るのだ!」騎士レオナール
「ウォルスタの未来のため、共に進んでゆけるものと思ったが――
いや、同胞でも意見を異にする者がいるのだ。同胞でないきみならば、なおさらか。」騎士ラヴィニス
「私が、同胞ではないと――?」騎士レオナール
「きみにはウォルスタ以外の血が――ガルガスタンの血が流れている。
所詮、混血のきみに期待するなど、間違いだったということだ!」騎士ラヴィニス
「!!」
ワーオ。令和の世だとかなり過激な発言だな。騎士レオナールはウォルスタ純血主義者のようだ。
カチュア「私は――、私は――、私はいつだってデニムと一緒よ!」
騎士レオナール
「捨て石が必要なのだ――何故、それがわからない?
愚かな人の心をつかむためには、大いなる犠牲が必要なんだ!!」ヴァイス
「カチュア!おまえはいいのか!?こんなやつらに従うのか!」カチュア
「私は――、私は――、私はいつだってデニムと一緒よ!」ヴァイス
「デニム!今日からオレとおまえは敵同士だ!」ガルガスタン兵
「ウォルスタ軍を皆殺しにしろ!生かしてここから出すな!!」騎士レオナール
「くそッ、ガルガスタンの援軍だ。ここを頼む!住民は私が!!」
斬り掛かる騎士レオナール、逃げるヴァイス、襲い来るガルガスタン軍と急展開が続く。
ここまでは単なるウザい女だったカチュアだが、この愚直なまでの決断には少し感銘を受けた。これからもずっと一緒だ姉さん。共に地獄に落ちよう。
バルマムッサの町:戦闘
チュートリアルに脅される。何も考えずに上書きセーブすると死ぬよと。
偵察
偵察でマップを見ると敵ユニットは9体。レベルは9。
楽勝だった先程の戦いとは逆に、今度は上から弓の撃ち下ろしを食らう配置だ。厳しいな。
騎士ラヴィニス「デニムよ、とても残念だ!目的のために手段を選ばぬ男になろうとは。」
騎士ラヴィニス
「デニムよ、とても残念だ!目的のために手段を選ばぬ男になろうとは。
私は、私の見込み違いを強く恥じる!そして、その恥を雪ぐために、おまえを殺そう!!」
憧れを抱いていた騎士ラヴィニアから向けられた失望の言葉が胸に突き刺さる。
ヴァイスは逃げ去ったが騎士ラヴィニスはその場に残っていた。もしかして一緒に戦ってくれるのかな?と淡い期待をしたが、騎士レオナールの混血煽りにブチ切れして完全に敵認定である。
攻略サイトによるとロウルートで騎士ラヴィニスが仲間になるとの事だが、ここまで軽蔑されて失望されて殺すとまで言われているのに、どうやったらこの状態から仲間になるんだよ……。もう無理だろこれ。騎士ラヴィニスを仲間にするためにロウルートで汚れ役を選んだのに何もかもブチ壊しだよ。
勝利条件:敵を殲滅せよ!
怒涛の展開の後に戦闘開始となる。展開も音楽も素晴らしいの一言だ。本作をSteamで再プレイして本当に良かった。
騎士ラヴィニアが敵に回った状態で更にヴァイスも離脱し、急斜面の上から一方的に矢を射られるという最悪のコンディションである。クァドリガ砦での屍術師二バス戦以来の苦戦になりそうだ。
騎士ラヴィニス「自らの意思をもって選択した結果よりも、出自が人の価値を決めるというのか?」
デニム
「ラヴィニスさんが――ガルガスタン人の血を引いていたなんて――」騎士ラヴィニス
「裏切られたと言いたいのか?私の発言や行動ではなく❝血❞を信じていたと?
自らの意思をもって選択した結果よりも、出自が人の価値を決めるというのか?
そんなはずはない!そんなことがあってたまるものか!」風使いカノープス
「なんともやりきれないぜ。彼女が混血なのは、彼女のせいじゃないだろうに。
――オレ自身、有翼人だからと蔑視された覚えはないが、そいつはたまたま運がよかっただけなのかもな。」デニム
「カノープスさん――」風使いカノープス
「おっと、戦場で感傷的になるなんて、オレらしくもないぜ。」
余りにもシリアスな展開になってしまったので、カノープスが助け舟を出してくれた。デニムくん見損なったぞ。
バルマムッサの町:1
マップ下部から上に向かわなければならないので辛い。取り敢えずカノープスが一番に抜け出した。だが、敵のHPも高いのでこちらの本隊が追い付くまでは待つしかないな。
バルマムッサの町:2
未来で仲間にするためには、このステージでは騎士ラヴィニスを殺さぬように進める必要があるらしい。槍でグサグサされるのが痛いが多勢に無勢。マップ下部に押し込んだ。
騎士ラヴィニス「私にも、貴方の復讐を誓う相手の血が流れているのだから!」
プレザンス神父
「ラヴィニス、剣をおろすのだ。我々が争って何の意味がある!?」騎士ラヴィニス
「それはこちらの台詞だ、プレザンス。貴方がこんな非道な計画に賛同するなど――!
――いいえ、違う。むしろ貴方は決めたのか。復讐のためなら神の教えにも背くと。
ならば、ためらわず私を殺すべきだ!
私にも、貴方の復讐を誓う相手の血が流れているのだから!」
ラヴィニスさん、やっぱり騎士レオナールの混血煽りをむっちゃ根に持ってる……。
バルマムッサの町:3
前線が衝突し本格的な削り合いになる。流石にこのマップは全ユニットをマニュアル操作した。
気が付いたらヴァルキリーが必殺技を覚えていたので使ってみる。これが強くて300ptsを叩き出した。自分が使う分には良いが、これを敵に使われたらと思うとゾッとするな。この先では当然使ってくるだろう。
バルマムッサの町:4
騎士ラヴィニスはどちらからも敵という扱いなので、上手く行けば敵軍に攻撃してくれる。
全ユニットがユニオンレベルに達していたので、思ったよりも苦戦しなかった。前線を刈り取って残党狩りへ。
騎士ラヴィニス「神はまだ――我が魂を捧げよと、ご命じにならないのか?」
騎士ラヴィニス
「神はまだ――我が魂を捧げよと、ご命じにならないのか?ここで生き、この若者らの天命を見届けろと――?」
敵ユニットを全滅させると、暴れたいだけ暴れた騎士ラヴィニスは転移石で去ってくれた。それを持っているなら最初から使って欲しかったんですが……。
バルマムッサの町:戦闘後
WAR TROPHY
氷のエレメンタルチャームを手に入れた。その他には特に珍しい戦利品は無し。
EXP TOTAL
経験値は3176だが全て捨てられてしまった。今回は経験値のチャームも無し。
ヴァイス「デニム、オレがこの手で殺してやる。――そのときまで死ぬなよ。」
ヴァイス
「デニム、オレがこの手で殺してやる。――そのときまで死ぬなよ。」
ロウルートだとヴァイスも仲間になる筈だが、ここからどうやって……?
バルマムッサの虐殺
自分が選んだ選択肢の結果をしっかり眼に焼き付けておけという演出。
CHAPTERⅠ終了
僕は理想のためにその手を汚すことができるのか――?